Drawing, Collage

Vita Quotidiana Series

Ritual Bronze Series

 恐竜や古生物への憧憬、畏敬、親愛の念を仮託するに際し、いわばイコンとして描いているシリーズの一つです。青銅器といっても多くの種類がありますが、基本的なデザインは古代中国、主に殷・周時代のものに範を求めています。

 当時の青銅器は動物をトーテムとした祖霊崇拝や神前における祭礼に用いられる信仰上極めて重要な器であり、施された数多の動物紋は意匠化されながらも強烈な生命力と魅力とを有しています。また同時に、器そのものが身近に存する生命の映し絵となっているケースも多く、ここに強く惹かれています。

 制作にあたっては青銅文様の意匠化の過程や形状を研究し、自然と共に在った時代に思いを馳せつつ、祈りの先を古生物とした上で自分なりの解釈で器と文様を再構成し、紋様一つ一つに存する意味を持たせて描いております。

Ritual Bronze -Rebirth-

 青銅器シリーズの派生として、自然に範を取り生命性と神性とを内包表現する「うつわ」としての青銅器、そこに象られた生き物との関係や起源により焦点を当てています。

 この構造において、青銅器は生命と非生命/自然物と人造物/想像と現実とを繋ぐ保護膜的存在でもあります。「自然界を闊歩する/していた生命から器の形が生みだされ、内包するイメージが再び解放される」という再誕のプロセスは、親鳥が産んだ卵から雛が孵って成長し再び親となるーー生物の進化の歴史の中で気が遠くなるほどに幾たびも繰り返されてきた生命の営みにも通じます。青銅器は卵殻に比することもできるでしょう。

Coin Series《Imperium》

 主に古代地中海世界の貨幣デザインを基礎とし、過ぎ去った時代の覇者としての古生物のアイコンを投影した作品群です。青銅器同様、文字一つ・装飾一点まで妥協はせずペンを入れています。

 古代ギリシア・ローマ、そしてその周辺諸地域において硬貨とは非常に重要な存在でした。

 王や皇帝は自らの肖像を(多くの場合、肩書きと共に)刻印することで、日常的に誰にでも分かる形で権勢を主張しています。そして権力者は自身や国家のバックグラウンドに正当性を持たせるべく、神々やその象徴、自らの業績などバラエティに富んだ意匠をも刻印しました。

 もちろん神話伝説が当然のものとして周知されていた環境が下敷きにあってこそのものですが、たった一枚の貨幣上の限定されたスペースに、濃密な関連性を持つ世界が描きあげられたのです。

Martyr Series

 ヒトの手によりその命脈を絶たれた絶滅動物たちを描いたものです。

 「殉教者」の分類の通り、あえてキリスト教における殉教画・聖人画になぞらえる形で描いておりますので、シンボリズム的な側面も含めそういった文脈・解釈のもと見てみると色々な発見を含め楽しめるかと思います。

 彼らはあくまで自身の在り方に対して忠実に生活を送っていた存在でした。ある者は食糧として、ある者は敵対者として、ある者は私達の都合の皺寄せを受け、ある者は戯れにその命を散らされ、そうして世界から消えていきました。

 過去の過ちから学ぼうと必死に足掻く努力を余所に、今この瞬間も、人類は自然界の絶滅現象にあるまじき速度で数多の種を亡失の道に追い込み続けています。

New Year Greetings

Other works


Oil, Mixed media


Three-dimensional

Aluminium Foil

Bronze